ローマから吹く風

イタリアの日常生活コラムを読みながら
イタリア語を無理なく覚えて行きましょう。

講読ありがとうございます

ローマ在住のjamada(やまだ)です。イタリアで実際に生活してみて思った事があります。

言葉が通じると言う事がまずベースですが、文法がきちんとしている事よりも語彙が多い方が言いたい事を伝えられます。
   →画像を見て、視覚と結び付けて「今日の単語」を覚えましょう。

単語の意味を知っていても習慣や独得の使い方を知らないと意味が通じない事があります。
   →コラムでイタリアの日常生活を垣間見てください。

アルファベットの表記に慣れてないと、辞書を見るのも、イタリア語の表示やメニューを見るのも億劫になります。
   →「今日の単語」を繰り返しコラムの中でイタリア語表記で使います。

楽しい読み物でこの三つをクリアするメルマガを目指します。


:その2: 
CINQUECENTO
(チンクエチェント/500)

これはミニカー。どう言うわけかフランス製。ベネツィアのみやげ物やさんで見つけて迷わず購入。ローマで見た事ない。

どう考えても名作のFIAT CINQUECENTOは今でも現役で町を走っている。
全長2,97メートル、幅1,32メートル、高さ1,33メートル。この大きさ(小ささ?)でありながら立派に4人乗り。形態の愛くるしさはスマートやフォードKAの比ではない。

CINQUECENTOの前に出ていたSEICENTO(600)って言うのもあるけど、こちらはややもたついた感じで、生き残りはCINQUECENTOよりはるかに少ない。
CINQUECENTOに見られるような愛好家を生む何かに欠けているようだ。

CINQUECENTOはイタリアでも各地に愛好家グループがあり、CINQUECENTOクラブもずいぶんの数になるはず。時折この愛好家クラブがツーリングを企画する。
CINQUECENTOが20台ほど固まってばく進。
タマ虫の行進のようで、道行く人はどうしたって微笑んでしまう。

これがフェラーリ・テスタロッサの行進、ポルシェ911の行進…なんてことになると、
憧れと嫉妬の眼差しで、ことはちょいと複雑になる。

と・こ・ろ・で・
この
CINQUECENTO所有者だったんです、わ・た・し。

象牙色のボディ。
キーを差し込み、ギアチェンジのそばにある冗談のようなスタートレバーを持ち上げると
全身を震わせて始動した。
遊園地の豆自動車のようなお手軽さで運転できた。
屋根を開ければ、隙間にたまっていた羽虫の死骸が枯れ葉の細切れと共に車内に吹き込んで、
思わずむせた。
駐車場所は「探す」のではなく、「でっちあげる」ことができた。
ゴミ箱の脇。並木の松の下。シャッターとシャッターの間。

「だった」のは盗まれてしまっから。だぁーー!いまだに悔しい。ほんと。
車検を通すために車体屋さんでボディのへこみをなおして磨きをかけ、
ブレーキを調整し、それまで履いていたFIAT126用のタイヤをちゃんと
CINQUECENTO用に替え、まるで思春期のお嬢さんのように初々しく、可憐な晴れ姿だった。

車検が無事通り、車検場に程近い義兄の家のそばに一晩置いたのが運の尽き。
翌日取りに行った時はなかった。
CINQUECENTOはちょっと車に詳しい人なら、キーがなくても線をつないで始動させる事ができ、終バスに乗り遅れた人がちょいと拝借してしまう事も多々あるから、一ヶ月もすれば出てくる…という警察の慰めは慰めに終わった。

彼女は美しすぎた…
あれからもう3年経った。


:今日の単語:
CINQUECENTO

CINQUECENTO
はすでに御存知、数字の500です。CINQUE(チンクエ)が5CENTO(チェント)が100。で、500というわけですね。車のCINQUECENTOは、エンジンが約500ccだったところから来ています。おにいさんにあたるSEICENTOSEI(セイ)=6+CENTO(チェント)=100で600です。これも約600ccだったところからの命名です。

CINQUECENTOSEICENTOと言う言い方は、年代を言う時にも使います。CINQUECENTOは1500年代、SEICENTOは1600年代になります。1000を省略しちゃうわけですね。

Uの発音に気をつけましょうね。母音はすべて日本語より大袈裟気味に。CINQUEQUも唇をすぼめてしっかり「ウ」の音を強調します。最後まで力を抜かないで最後のOも口を開けて発音してください。日本語式に発音すると、「チンケチェントゥ」みたいに、多くの母音が脱落して聞こえます。

例えば、2(DUE)のUを日本語式にあいまいに発音すると、最後の「エ」だけ聞こえ、お店のヒトはちょっと迷ってから、サンドイッチを二つじゃなくて三つ(TRE)包んでくれたりします。


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